腰痛患者は年々増加しています
あなたは、整形外科や整体院で腰痛の原因をヘルニアが神経を圧迫しているから痛いとか、骨盤がずれているから痛いとか、老化で骨が変形してしているから痛いなどと科学的根拠のない説明をいまだに受けていませんか?
あなたはまだ時代遅れの説明を受けていませんか?
1991年にカナダのGordon GuyattによってEBM(科学的根拠に基づく医療)という考え方が提唱されて以来、世界各国から腰痛に代表される痛みやシビレに関しての研究データが集められています。
そして、これらの信頼性の高い研究データから様々なガイドラインができています。
腰痛に関しても、米国・英・ヨーロッパ諸国などから腰痛ガイドラインが発表されています。
そこで驚くべき事実が明らかになりました。
歳だからしかたがない!?
整形外科に行かれて、レントゲンを撮り、背骨が変形しているから、骨のトゲがあるから、骨密度が低いからと、あたかも痛みの原因を老化現象による骨の変形とされるご高齢者が多いと思います。
しかし、研究データによれば、腰痛のピークは30代40代であり、それ以降は徐々に少なくなっていくのです。
うみかぜカイロに来院される腰痛の方々も、ご高齢者もいらっしゃいますが、圧倒的に30代40代の方々が多いです。
老化による骨の変形が痛みの原因であれば、年代があがるごとに患者数が増えるはずですが、そうではありません。
すなわち、骨の変形は、みなさん歳をとれば白髪やシワができるのと同じように、単なる老化現象にすぎず、痛みの直接的な原因ではないのです。
ヘルニアが神経を圧迫して痛い!?
腰痛の代表格が「腰椎椎間板ヘルニア」です。
MRIを撮り、ヘルニアが飛び出て、神経を圧迫している画像を見ると、あたかもそれが痛みの原因だと考えられてきましたが、EBMの誕生により、新しい認識がされるようになってきました。
国際的な学術誌『 The Journal of bone and joint surgery. American volume』(1990)Boden SD.ら による研究によれば、
腰痛を経験したことがない20~80歳までの67名の腰部のMRIで撮影を行い、それに加え、腰痛患者のMRI写真を33枚をランダムに混ぜ合わせ、研究内容の知らない医師3名に画像診断をしてもらいました。
その結果、腰に痛みのない健常者のうち、
「椎間板ヘルニア」が21~36%
「椎間板膨隆」が50~79%
「椎間板変性」が34~93%
に認められました。
さらに、1995年、カナダのBoosらの研究によれば、ヘルニアと診断された腰痛のある患者46名と年齢・性別・職業などを一致させた腰に痛みのない健康な人46人のMRIを撮り、研究内容の知らない医師2人に画像診断してもらうと、
その結果、痛みのない健康な人の76%にヘルニアが見つかりました。
つまり、痛みのない健康な人の4人に3人がヘルニアを持っていたのです。
よって、画像診断でヘルニアが見つかったからといって、それが痛みの原因とは言えません。
この研究は国際腰痛学会のVOLVO賞(年に一度のノーベル賞にあたる賞)を受賞しているので、専門家であれば、必ず知っているはずの情報なのです。
すべり症だから腰が痛い!?
1992年、アメリカのBigosらの研究によれば、雇用前に健康診断を受けた労働希望者203名、急性腰痛を発症した労働者207名、6か月以上の慢性腰痛患者200名を対象に2名の医師によって、レントゲンの画像診断をしてもらい、骨の異常検出率を比較しました。
その結果、3群の異常検出率には差がありませんでした。
すべり症を代表とされる骨の異常があろうとなかろうと腰痛の原因ではないと言えます。
肉体労働なので腰が痛い!?
腰痛でうみかぜカイロに来院された方に問診で詳しくお話をお聞きすると、特に男性の方は仕事柄、身体を使うので腰痛になったのではないかとおっしゃる方が多いですが、実際はどうでしょうか?
山口義臣・山本三希の研究によれば、職業別に腰痛患者数を調べてみると、もっとも腰痛が多かったのは、無職の方々で、肉体労働者と専業主婦とではさほど差がありませんでした。
一概に肉体労働をしているから腰痛になりやすいとは言い難いようです。
肉体労働+何か=腰痛
この何かが加わることで腰痛の発症率も高くなります。何かとは、ヨーロッパの腰痛ガイドラインではイエローフラッグと呼ばれていますが、心理社会的因子いわゆるストレスです。
腰が反りすぎだから痛い!?
一般的なカイロプラクターや整体師は背骨を1つの指標にして治療しますので、ファーガソンアングルといいますが、腰の反りの角度を重視します。特に女性の方は、腰痛の原因として、腰の反りすぎと言われた方も多いのではないでしょうか?
国際学術誌「Spine」に掲載されていますが、スウェーデンのHanssonらの研究によれば、20歳から63歳の腰に痛みのない健常者、急性腰痛、慢性腰痛それぞれ200名を対象にレントゲンで腰の角度を計測したところ、
三者群には統計学的な差は認められなかったことから、腰の反りと腰痛は何の関係もないと指摘しています。
ようは腰が反っていようが、痛い人もいるし痛くない人もいるわけです。
図を見ると反り過ぎれば過ぎるほど腰痛が増えるわけでもないようです。
これらのことから、医師は腰の反りに関してのコメントは控えるべきだと忠告しています。
安静にしていなさい!?
腰が痛い時は、無理な動きははせず、安静にしていなさい。
いまでも当たり前のように言われていることですが、欧米では、すでにこの考え方は、時代遅れであり、科学的データからも、安静は回復を遅らせるだけでなく、身体機能の低下による合併症を誘発する場合もあるとして、腰痛患者に対して、安静を指示させることはしていません。
1995年フィンランドのMalmivaaraらの研究によれば、急性腰痛患者186名を2日間のみ、安静群、ストレッチ群、痛みに耐えられる範囲内で日常生活を過ごす群、3つの群にわけ、その後の経過を調査しました。
その結果、もっとも早く回復したグループは、無理がない程度に動いたグループであり、もっとも回復が遅かったのが、安静にしたグループでした。
痛みが強く、まったく動けないのを無理やり動かせと言っているのではありません。
ポイントは、痛みがあっても、動かせる範囲内で動かすことです。
まとめ
これらの研究データはごく一部ですが、大きくこれまでの腰痛に対する概念が変わりつつあります。
しかし、日本の医療の現場では、こうしたデータを知りつつも、医療システム上、急な転換は難しいようです。
うみかぜカイロでは、一人でも多くの方々に、このような腰痛を代表される痛みに対しての新しい考え方を知っていただくためにも、今後も活動してまいります。
また使わせていただいたデータは、TMSジャパンにより提供していただいた資料です。より詳しくお知りになりたい方はホームページをご覧ください。
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